⚠trick or treat?

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――アーズリー 隣で眠るヴェルテの肩にはもう何日も前なのに未だくっきりと自分の歯型が居座っていた。 いつもは自分が痕を残される側で。 その反対にヴェルテに傷を刻んだという事実は思っていた以上に、またその痕と同じくらいおれの中で強く残っている。 ただ多少やりすぎた感じを覚えたが後悔はしていない。 「ん、どーした?」 「なんでも」 そっと指でなぞればぼんやりと瞼を開き尋ねるこいつに、ふっと微笑んで自分も傍らに寝転がった。 すれば緩く抱き締められ、おれも背中に手を回す。 ふいにキスをしたくなって顔をあげると、ヴェルテはもうすでに寝息をたてていて拍子抜けする。 しかし起こさぬように少しだけ伸び上がって、密やかに頬に口づけ元に戻ったおれも目を閉じ夢の淵へと落ちていった。 end
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