寒い日には ver.1

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冬の気配が日に日に近寄るある日のこと。 少し気の早いクリスマス支度に賑わう街を、俺とアーズリーは並んで歩いていた。 しかし最初から二人で出掛けていた訳ではなく。 もともと互いに違う用事で出掛けていた、その帰り際にばったり出くわしたというだけの話で。 とはいえ、そんな偶然で束の間のデートを楽しまないのも惜しいので、帰りたがるアーズリーを引き止めて今に至る。 「しっかし今日は一段と寒いな」 「……ああ」 まだ昼間なはずなのに、今日は風があるせいか陽の当たる場所でも肌寒く感じる。 頬を撫でる風に俺は開けたままのジャケットの前をかき寄せた。 そしてなんとなく呟けばやや間があいた返事がある。 ちらりとアーズリーの方を見ると首に巻いているマフラーを鼻まで引き上げ、両手をコートのポケットに突っ込んでいる。
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