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「ほらこれで寒くねーだろ」
「な、こんな街中で……!」
ポケットに入ってた割にひんやりとした手をさらに繋ぎ直して、驚いているアーズリーに笑いかけた。
すればこいつは寒さで赤くなっていた僅かにのぞく頬をさらに赤く染めて言い返すが、聞き流して歩き出す。
「嫌なら離してやるぜ?」
「っ……馬鹿」
繋いだ手からまだ戸惑いが伝わるのに、俺はわざと意地悪く聞く。
絶対振り解かないのを知った上で。
それにアーズリーは一瞬目を見開いた後、すいと視線を逸らすも隣まで来て手を握り返してくる。
「アーズリー」
「なん、だっ!?っ、ヴェルテ!」
やはりそんな行動が愛おしくて、俺は名前を呼んで振り向く前に抱き締める。
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