寒い日には ver.2

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どうせ誰も起きてやいやしないと考えていた俺は、ドアを開けて廊下に出かけた足を止めた。 「……なんだ、あれ……?」 電気の点いていない薄暗い廊下を白い物が彷徨いている。 これでも怪盗という身分でこの屋敷に住んでいるので、そう簡単に外からの侵入を許すようになっていない場所に得体のしれない物が目の前にいるわけで。 それが人の姿をしてればすぐにでも向かっていくのだが、わけのわからない塊にただ俺は唖然と呟くしかできないでいる。 お化け?いや、そんなはずは……って、布? とにかく正体を見極めようとそれを凝視していると、塊に見えたものはどうやら白っぽい布を被った奴が歩いているのに気付く。 幽霊とかでなく人であるのが確認できたそれが廊下の曲がり角に消えるのを見て俺は、足音を忍ばせてあとを追った。
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