寒い日には ver.2

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そして床を擦っている布の端を足で踏みつけ、やつを捕まえることに成功した。 「……アズーお前何やってんだよ」 が、俺が引っ張ったことによりずれた布から現れたのは驚いた表情で振り向いているアーズリー。 近づいて気づいたのだが、布も掛け布団の毛布だ。 驚きたいのはこっちなんだがなぁ。 意外な正体に虚を突かれたが、次にはため息しかでず、足を退かせばまた毛布を手繰り寄せながらアーズリーはこちらに体を向ける。 「で、どうしたよ」 「…………」 頭からすっぽりと毛布を被って、普段からは想像もつかないくらいの間抜けな格好に改めて問いかけるが、こいつは見つかったのが不服なのか俯いて黙ったままだ。 「……ぃ」 「あ?」 しかし逃げるわけでもないので屈み込めばなにやら小声で呟やかれる。
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