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「っ、寒いと言っただけだ!」
「だからってこれはねーだろうよ」
しかし聞き取れずに眉を顰めていると、きっと顔を上げたアーズリーは噛みつくような勢いで言い直してくる。
つまり寒がりなこいつなりの対策らしいが、あまりにもな様子に俺は毛布の裾を引く。
「手頃なのがなくて仕方なくだ」
「仕方なく、ね。とにかくこれで階段降りるのはやめろよ」
それにアーズリーは少し視線をさまよわせたあとぼそぼそと答える。
仕方なくというが、おそらく温もりの移った毛布を手放す気がなかったという方が正しいんじゃないかと思うも、これ以上の詮索は不機嫌にさせるものと打ち切って呟いた。
だがここを歩いていたということは多分階下へ行くつもりだったのだろうと当たりをつけて言えば、首を傾げられる。
「裾踏んで転がり落ちられたら洒落になんねーだろ」
「そこまで馬鹿じゃない」
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