寒い日には ver.2

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俺が理由を言えば、今度はぷっと頬を膨らませて抗議してくるが聞き流して毛布を引っ剥がした。 その代わりに俺は自分が羽織っていた上着をかけてやる。 「そっちのがいくらか動きやすいだろ。で何飲むよ」 「……コーヒー以外ならなんでもいい」 俺のサイズだからアーズリーにすれば多少はだぶつくだろうが、それでも手や足元も自由になる。 俺と上着を見比べながらまばたきを繰り返すこいつに毛布を持ち直しながらふっと笑みを零し、歩き出した俺はついでに尋ねた。 それに袖に手を通しながらついてくるアーズリーは決まりきった答えを返してくる。 「ココアがあったかな」 リクエストを聞いたはものの、めったにキッチンに立ち入らないのでコーヒー以外のものがあるか記憶が定かではない。 ま、お湯くらい沸かせばなんとかなるか。 行く前から考えても仕方ないので、ひとまずキッチンへ急ぐ。
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