寒い日には ver.2

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手にしたカップから伝わる温もりと、漂う香りに心地良さを感じながら部屋に戻るとこちらも程よく暖まっていた。 二人並んでベッドに腰掛けてゆっくりとホットミルクを飲む。 「俺は寝直すけど、お前はどーするんだ?」 それから空になったカップをサイドテーブルに置いた俺は、まだちょこんとベッドの縁に座るアーズリーを見る。 その問いに顔を上げたのに、すぐに何か迷うように俯いてしまった。 「部屋に戻れと言うのか?」 「戻りたいならどーぞ」 ややあって上目遣いで唸るように言われた言葉を意地の悪い笑みで返す。 もちろん帰すつもりはなく、ただの軽い冗談のつもりだ。 朝から驚かされた仕返しも含めての。 「邪魔ならそう言えばいいだろう」 「誰もんなこと言ってねーだろ。たく、ほら」
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