寒い日には ver.2

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あと向こうから甘えてこないかと期待してみたが、かえって機嫌を損ねたようでぷいと横を向いてしまう。 けど一向に動こうとしないやつに、俺は体勢を変えて空いたスペースを叩いて手招く。 「始めからそう言えばいいものを」 「はいはい、悪かったって」 それでちらりとこちらを見たアーズリーが呟きながら横になり、こいつも俺に引き止めてもらいたかったのかと思う。 だからくすりと笑い声をこぼしながら、未だふてくされ顔の頬を撫でた。 それに表情を緩めたアーズリーがすり寄ってくるのを抱きしめれば、あれだけ遠のいていた眠気が一気に広がる。 ふと見るとアーズリーも同じようで、長めのまばたきをする瞼に小さな口づけをし、耳元でおやすみとだけ囁いて俺も目を閉じた。 end
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