はじまり

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くすっと笑ったお袋は、可愛く頬を染めて、上目遣いに親父をみる。 親父も優しさにみちあふれた目を向ける。 「一週間…でしたよね」 「あぁ、一週間って言った。」 「本当に強引でしたけどね」 またくすっと笑ったお袋と、照れたような表情を浮かべる親父。 「一週間って~?」 そんなこといったのは確か梨子だ。 「ジンクスなんですって、草介さんの」 「あぁ、ジンクス…、一週間の約束。」 「えぇ…ふふっ」 また顔を見合わせて笑う2人の“ジンクス”の内容を聞いたのは、それからもっと後の話。 その時俺は、秘密基地の合言葉を言い合う子供のような2人を見て ちょっとだけ羨ましくて、すげー誇らしく思ったのだった。
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