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死体と狂乱が乱れる戦場の北の空に地に対し垂直に浮かぶ茶色の紋様が現れていた。
ちょ、でかくね?百メートルはあるんじゃないんですか?
「アランッ!こんな所にいないで早く退くぞ!」
一人焦っている中、名前を呼ばれ、後ろを振り返るとそこには俺と同じ雑兵のカフカが息を切らしながら切羽詰まった表情で立っていた。
「カフカ……お前ぇ、腕……」
カフカの右腕の肘から下が無くなっていた。布切れで簡素に止血しただけなのか、血が滴り落ちている。
「んな事どうだっていい!生贄にされるよりゃあマシだッ!!」
カフカ、血ドバトバ出てっぞ。そっちも大丈夫なんかじゃねぇだろい!!
そうカフカに話かけようとした瞬間──身体に走る脱力感。結構離れてんぞ……?どんだけなんだよ……!
「……ッ、アラン急げッ!!」
肺がハチ切れるくらい走り、紋様から離れていく。紋様は輝きを増して行く。そして。
……ぬ、脱力感が消えた。てぇことは、召喚が終わっ……ッ?!
紋様から、曇天に届くんじゃねぇかと思っちまうくらいの肌色の腕が出て来きた。
「巨人(ティタン)ッ……!?」
紋様から出て来た巨人の腕が、地に振り落とされる。その数秒後。俺の意識は闇へと消えた。
そして、眼が覚めた時、俺は治療室にいた。
医師から言われた二つの事。
アシュレイアが陥落した事。そして、あの巨人のせいで俺の左腕が丸ごとぶっ飛んじまったって事だった。
この日、この時から。俺の人生は少しずつトンデモな方向へ向かって行ったんだ──
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