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「ぐぬッ……うア゙ァァァァッ!!」
左肩に走る痛みと熱。意識がぶっ飛んじまいそうになる程のものだった。
傷口の止血を、アツアツの鉄板で無理矢理塞いで止めるのってどうなんだよ……。いくら怪我人が多くてたいした治療が出来ねぇからってこれはよぉ……。
地獄と思えた時間は過ぎて、身体のいろんな所にムサいオッサンから包帯をぐるぐる巻かれて、今は治療室の壁にもたれかかって休んでいた。
広さは分からない。少し薄暗い部屋、響き渡る呻き声。その中次々に患者を治療していくツルッパゲな医師が近くに来たから、気になってた事を聞いてみた。
「なぁ、医師さんよぉ。カフカはどうなったか知らねぇかい?」
「馬鹿か。そんな雑兵の名前一人ずつ覚えてられる程の記憶力なんざ俺は持ち合わせてねぇっての」
「だよなぁ……」
「まぁ、生き残っただけでも幸運だったと思えや。何でも、俺らの国の進軍した自軍を大量に使った召喚攻撃だったんだろい?」
こっちの方まで揺れやがったがな!と医師は笑いながらそう続けた。
…………ん?
「自軍ってここは……」
「あ?ルーシュカに決まってんだろ?頭までイカレちまったかい?」
俺、ルーシュカの雑兵さんじゃないんだけど……アシュレイアの方なんだけど……どういうこと?
……まさかまさか、巨人の攻撃で装備してたアシュレイアって特定出来る甲冑の部位が吹っ飛んで、あのラリった野郎からパクった剣を握りっぱなしで気が吹っ飛んでたってたか?
うわぁ、奇跡に近けぇなこりゃ。ありがとうよ、敗戦したのに治療(雑だけど)うけれるとはな。アヘ顔野郎のお陰か。
「……で、負けたアシュレイアの奴らはどうなってんだよ?」
そう聞くと、医師はその内容を口をつぐむ事なく、サラっと言って来た。
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