亡国の兵

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「おいアンタ、その腕……今回の戦いに出兵したんだろ?」 大通りらしき所を散策している中、左から声が聞こえた。そっちに向くと、果物屋を営んでるらしいガタイの良い兄ちゃんが話しかけてきた。 「左腕失くなっちまって……残念だな。でもお前らのおかげで勝ったんだ、感謝してんぜ!」 ほら、とそう言いながら俺にアルプの実をくれた。水分を長らくとっていなかった気がするから、一口かじってみる。 アルプ特有の酸味と、その後にくる甘さ、噛む度に溢れ出す果汁が喉を潤し、一瞬の幸福感に浸る。 一口目を堪能した後、大人の握り拳程の大きさの実を一気にかぶりついて胃の中に落とした。 「うまそうに食ってくれんじゃねぇか。……しかしよぉ、これであのクソッタレなアシュレイアとドンパチやらなくて済むと思うと清々するわな!」 別に母国愛とかは持ち合わせてねぇが、なんだかな……故郷をクソッタレって言われるっつーのはあんま良い気分じゃねぇや。 その後兄ちゃんからもう一個アルムプの実を貰って、その場を立ち去った。商店街を抜けた先には広場らしく、中央にはレンガで形作られた円形の湖があって、中央には噴水が。 湖の回りにはベンチがあって、その老若男女いろんな奴らが座ったりしていた。 初めてじっくりルーシュカの国の中を見てみたけど、悪い所じゃねぇな。建物は白のレンガで出来ていて、空にある夕日がレンガを綺麗なオレンジ色に照らしてる。 建物と建物の間に幾つもの橋があったりして、どこか複雑な街並みをしてんやがんだなココは。
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