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食べ終えた栄は“ごちそうさま”と手を合わせながら言った。
「当面の事、ゴンさんに相談してみるか。
青子サンの事、心配してたし。
あれでなかなか世話好きっつーか、頼りになるっつーか」
「でも、そんなに……」
「迷惑なんじゃ、なんて思ってる?
大丈夫だって、俺も世話になったクチだし。
てか、考えてみたら今も世話になってるんだよな」
私は涙ぐみそうなのを隠しながら、手を合わせた。
「ごちそうさま。
美味しかった、食器洗うね。
そのあと、ゴンさんの所に行こうかな」
「おぅ、食器洗いサンキューな。
俺さ、今日、昼からバイト入ってんだけどさ。
ゴンさん居るし、大丈夫だから」
「うん」
栄の優しい言葉の連続に、私の涙腺はますます緩みそうになった。
でも、家出したオバサンにメソメソされたら彼じゃなくても困るだろう。
そう考えた私は、気持ちを切り替えようと腕まくりをして食器を洗った。
栄とゴンさん、二人と話す事で何かのキッカケが見つかるかもしれないと思いながら。
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