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当たり前の話だけれど、山さんは私の存在を不思議がった。
私が白田君の隣の部屋に泊まらせてもらうと知った山さんは、満面の笑みになった。
「おぉー、いいねぇ。
一緒に飲もうよ、ご婦人」
「は?」
白田君の迫力ある鋭い視線と一言に、山さんは諦めたようだった。
三階は、階段を上がりきった場所から向かって右側が彼の部屋で、左側が私が泊めさせてもらう部屋だった。
私は、ゴンさんから預かった古めかしい鍵でドアを開けた。
すると白田君が、自分の部屋から掃除機を持ってきた。
「その部屋、掃除するからちょっと待ってて。
ずっと使ってなくてさ」
お掃除までしてくれるなんて、かなり同情してくれているらしい。
そう思って、私は驚きと申し訳なさでいっぱいになった。
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