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言われたとおりに少し待ったけれど、私も手伝おうと部屋を覗いたら掃除機がとまった。
「あのさぁ、押し入れに一応布団はあるんだけどさ。
ずいぶん昔のゴンさんので腐りかけてるっつーか、俺でも使うのに勇気がいるっつーか」
白田君は掃除機をヒョイと肩に担いで、苦笑いで言った。
「え……、それは私も勇気がいるかも。
というより、クジケそう……」
私も苦笑いになった。
「あー、まあ、そうだよな。
じゃあ今の季節だったらさ、俺、布団なしでも平気だからさ。
俺の布団、使うか?」
白田君の提案に、私はしばし口ごもった。
どっちにしても“オッサン臭”が気になった。
けれども、彼は親切で言ってくれているのにオッサン臭くらい、それくらい……。
「白田君は、自分の布団の方が綺麗だと思うから言ってくれてるんだよね」
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