004

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
入院して数か月後。 私と同年代位の少年が入院してきた。 まっさらに白いTシャツと、色あせたジーパンと質素な出で立ちなのに、独特な線のほそさと、陰のある長く伸ばした前髪と顎のほそさが、妙に印象的だった。 そして、右腕の鮮やかな蝶々のタトゥー。 私は、彼をみた途端に強烈な好奇心を抱いた。 そのくせ臆病な私は、遠巻きに彼のことを視線で追った。 彼は誰とも話しているところを見たことがなかった。 完全な一匹狼で、彼はたまに神経質な視線で周りを見回す癖があり、それが周りに近寄りがたい印象を与えていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!