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小さい頃の記憶は少しだけ覚えている。
親は私をしつけるのに手がかかりすぎたという。
引っ越し先の地元では、相手に対しては無反応な割に、自己主張ばかり強く、きかん気だった。
わがままが通らなければ大声で泣き出し、自分の気を惹きたい時は、わざと押し入れに閉じこもったりした。
その自己中心的な態度と裏腹に気が小さかった私は、幼稚園、小学校と男子から暴力を受けたり、女子からは無視されたり露骨にからかわれた。
それを誤魔化してすごす時、私はただの馬鹿を演じた。
自分の意志が通らなかった腹癒せのように、心が邪魔だった。
中学生に上がったばかりのころ、太宰治の人間失格の本が異様に恐かった。
部活では運動音痴で、チームメイトにはあざわられた。
しだいに私の演じてきた道化に、悪意が芽生え、ゆっくりとそれは神経や体質に現れた。
目つきはストレスのたまりで、まるで犯罪者のように暗く、いつも据わっていた。
同級生の笑い声が、自分への嘲笑、罵倒に聞こえて、私は怯えの中で獣のような凶暴な気持ちを抑えた。
胸がガンガンに痛くなり熱をもつことが度々あった。
高校に上がり、数少ない疲労した私の前に現れた少ない友達付き合いでさえ、私は疲れた。
気がついたら、私は家にあったありったけの薬の錠剤を胃に流し込み、意識を失った。
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