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「花魁、お客様です」
「…客?」
禿がそっと襖を開けると薬売りが荷物の箪笥を横に置いて正座をし、手をついて軽くお辞儀をしていた。
「どうも」
顔を上げると綺麗な顔立ちで、口紅のせいか笑んでいるのかそうでないのか分からない表情が見えた。
「……薬売りさんがわちきに何用でありんすか?」
「薬売りですから。商いをしに……」
「それおしたらわちきでなく、下の者を通しておくりなんし。常識でありんしょう…」
「ええ…ですからちゃんと、許しを戴いてこちらに。……夕霧殿」
目を細めて花魁…夕霧を見据える。
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