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「薬売りさぁん…あちきらと遊びましょうよ」
見世物小屋の遊女が色っぽく手招きして薬売りを誘う。
「あらぁ?抜け駆けはよろしゅうないおすなぁ。あちきとも遊んでくれなんし」
次々と飛び交う誘いの声。
薬売りは声に応えはしないものの女達へ顔を向け、フッと微笑んでやる。
遊女達はそれだけで顔を真っ赤に染め上げる。
薬売りは遊女に構うことなく、そのまま向かうべき所へと足を運んで行った。
カタカタカタカタ…。
「……やはり、いるようですね」
背の箪笥から聞こえる音に応えるかのように呟いて……。
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