霞屋―かすみや―

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「何か、言いんしたか?」 夕霧の不審そうな顔が薬売りを捉えるが、薬売りは畳を睨み付けたまま静かに佇むだけだ。 「いえ……何も…」 適当にはぐらかし、荷を次々としまっていった。 「夕霧殿……一つ…聞きたいことがあるのですが…」 「ここで誰か……亡くなられましたか?」 「…………いえ、誰も。何故そのようなことを?」 いえ、とまたはぐらかし立ち上がった。 「では、また御贔屓に……」 「それはこちらの台詞でありんす。次は遊びに来ておくれなんし」 「………では、またいずれ…」 そうして花魁の部屋をゆっくりと出ていく。 .
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