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「……」
男の子は帰るだろうと思ったが、そのまま無言で、私の隣にストンと座った。
少し間を空けた、微妙な位置に。
「え?どうしたんですか…?」
私は、思わぬ行動にとてもびっくりしていた。
まさか、座るなんて……。
月の明かりが、彼を少しだけ照らしている。
「…女の子一人で、こんな夜中にほっとけるわけないだろ」
彼は淡々とした声で、私と反対側に少し首を向けながら、そう言った。
…え?見ず知らずの私を?
なんで…?
普通、帰るでしょ。
私の頭の中は、疑問符でいっぱいだった。
「あの…いいですよ。私、一人でも大丈夫ですから」
私は彼に、やんわりと帰っていいことを伝えた。
…だって、知らない人なのに、そんなの…。
しかも、悪いし…。
そう思ったから。
すると彼はこちらに顔を向け
「もし変なやつが襲ってきたらどうすんだよ。お前、反抗できるのか?」
と聞いてきた。
いや…それは…。
……無理…だけど。
「無理、だろ?」
彼は私の心を読み取ったかのように言った。
「……はい」
本当のことを認めざる終えなくなり、私は頷いた。
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