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沈みかえっている公園。
街灯が数個だけ、弱い光を放っている。
…なんでこいつ、こんなとこで寝てるんだ。
俺の視線の先には、ベンチに座ったままスースーと寝息をたて、寝ている女の子。
こんな夜中に……
どうしたのだろう。
とりあえず、起こしてやろう。
そう思った俺は、寝ている女の子の肩を持ち、軽く揺らしてみた。
長い髪の毛がゆっくりと揺れる。
しかし、彼女は目を閉じたまま、起きない。
俺はもう少し強く体を揺らしながら、声をかけた。
「…おい。おい」
「ん~…」
おっ…、起きたか?
彼女を見つめながら、少し待ってみる。
……しかし女の子は、起きない。
……なかなか手強いな、この子。
「おいって…起きろよ?夜中だぞ」
俺はめげずに、もう一度声をかけてみた。
「夜中…?!」
すると、やっと女の子は目をパッと開け起きた。
「…あ」
そして、少ししてから俺の存在に気づいたみたいだ。
「あ…」と声を漏らしたままびくともしないので、俺は話し掛けた。
「…ずっと寝てたの?ここで」
一番気になることを、きいてみた。
すると彼女は少し間をあけ、俺を見上げながら
「あ…はい」
と答えた。
…すげぇ。
「ありえねぇ…お前、ある意味凄い」
俺は、尊敬した。
今まで寝てたことに。
…てか、こんなところで寝てたら…危ないだろ。
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