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「……」
なんでいいのかはわかんないけど、なんか理由がある気がした。
女の子の表情が、そう言っていた。
……てか、「もうちょっとここにいます」って…
こんな時間に一人でおいとけねぇし…。
そっけなく帰るのもなんだか嫌だし…
俺は、何も言わず女の子の隣に座った。
この体が、自然とそうしていた。
「え?どうしたんですか…?」
声の主を見ると、すごくびっくりしたような、困ったような顔で俺を見ていた。
「…女の子一人で、こんな夜中にほっとけるわけないだろ」
何かあったらどうすんだよ。
こんな誰もいないところ、暗くて怖いし。
公園の隅の方にあるトイレは、薄暗く、気味悪く建っていた。
「あの…いいですよ。私、一人でも大丈夫ですから」
遠慮気味に、彼女は言った。
悲しそうな、瞳。
「もし変なやつが襲ってきたらどうすんだよ。お前、反抗できるのか?」
ちょっとだけ彼女の言うことにムキになって、少しだけ声を大きくしてしまった。
彼女は一瞬目を開いて、次に泳がせ、
「いや…それは…」
と控えめに言った。
ほら…無理じゃん。
「無理、だろ?」
俺が無理だろうと言うと彼女は少し間をおき、はい、と答えた。……そのまま俺は、彼女の隣に座ることにした。
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