17人が本棚に入れています
本棚に追加
夕焼けで赤く染まる生徒会室内。
それがなんだが微妙な青春に感じるのは俺がひねくれているのか、はたまた人間的にだめなやつだからなのか、沈黙に包まれる室内で俺はただひたすらもくもくと銀色の特に特徴の無いシャープペンシルを動かし、サラサラとした音が鳴る紙を注視しながら手を動かす。
俺が今何をしている?というと、今月の林間合宿のための雑務を行っている。
といってもやるこというかまだ入ったばかりの俺には他に仕事がないため、こうして雑用にせっせと手を動かすしかないんだけどな。
そう考えるとここにいる意味なんかあるのかなんてことを考える。
考えながら、自分の前に置かれた、生徒会副会長と掛かれたネームプレートを見やりながら、これが副会長なんて情けないものだなと一人ごちてみる、
この高校に、入学してはや一ヶ月が過ぎた。
大分学校にも慣れはじめ、今やこの校内のなにがどこにあるかも大分把握し、昼休みの一大イベントの購買戦争にも大分慣れ、今日も戦利品の人気ナンバーワンの焼きそばパンをゲットできるようにもなった。
勉強の内容も俺にはそこまで難しくなく、ていうか、運動神経が零の役立たずの俺は地道にテストで挽回するしかないので勉強にはかなり力を入れている。
いやぁ運動神経がまったくないわけではなくて、それには俺の人とは違う欠陥というものが関わっており、その所為といってもいいだろう。
欠陥を持ったハンディを背負った人間、それが俺だった。
生まれた時に、母親が言われたそうだ、あなたの息子さんは長くはありませんと。
だがまぁ、今こうして生きていて、こうして生徒会の雑務をすることができるのも俺の普段からの生活、余り、物事に深入りせずに生きてきたお陰もあるかもしれない。
そう考えていると俺は肩や腰に負担がかかり身体がこりかまっていることに気づき、なんとなくこの空気を壊したくないため、辺りを見回してみる。
今日は珍しく、生徒会のメンバーは静かに誰も余計な口を開きもせずにただ黙々と仕事に精を出している。
なんとなく、作業に少し飽きてしまった俺は一度凝り固まった背筋を伸ばすためにペンシルをおいて、欠伸と共に手を存分に伸ばす。
「ふぁぁ、くうぅぅ……はぁ」
「あらあら、お疲れ様ですね?大丈夫ですか?」
俺の痛みと快感を伴った声に誰かが反応し、早速声をかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!