クロノスとラファエル

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-天使の片翼- そう書かれた大きい建物に少年が入る。 「クロノス様がお帰りになられたぞ!」 この声がしたと同時に白のローブを着た人々が少年の行く道に沿って並ぶ。 「…集まるな。散れ。」 少年は殺気を放ち集まった人々を睨む。脅える者や失神する者、動じずそのまま去る者もいる。 その中を少年に向かって歩いてくる老人が一人。 「ほっほっほ。クロノスよ。おぬしは今このギルドの中では一番高い位についているのじゃ。このぐらいのお迎えは当然じゃろうて。」 白く長い髭を持った老人。あのすさまじい殺気の中を平然と歩いたこのお方は、この【天使の片翼】のギルドマスター、雷門風十郎、二つ名を<嵐者(ランシャ)>。 「マスター、俺大勢に集まられるのは苦手なんですよ。何でこのギルド内には転移できないようにしてるんですか。毎回こういうもてなしをされるのはもうコリゴリです。しかも、一番位が高いのはマスター、あなたですよ。」 無口かと思われた少年は、ギルドマスターにやんわりと突っ込みを入れる。 「ほっほっほ、まあ、別によかろうて。お、忘れていたが、話があるからおぬしとラファエル一緒にわしの部屋に来るがよい。ラファエルは任務にいっとるがあと1時間もしたら帰ってくるじゃろう。」 ラファエルはクロノスの相棒。2人が呼ばれるのはよほど難しい任務ということだ。 「分かりました。ラファエルが帰ってきたらいきます。それまでは自室で待機してますので。」 ほっほっほと手を振りながらマスターは去っていく。 クロノスもその後を歩き、自室へと向かった。
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