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'ギルドマスター室'
そう書かれた扉の前に2人は立っていた。
2回ノックし扉を開ける。
「「失礼します。」」
その部屋には…緊張した雰囲気が…
存在しなかった。
「おーい。お二人さん、助けておくれー。」
書類が崩れた中からギルドマスターらしき人の声が聞こえる。どうやら書類の雪崩が起きて埋まってしまったようだ。
「クロノス様…、あれ…」
ラファエルは笑いをこらえるのに精一杯で肩が震えている。
「……ラファエル。ギルドマスターを傷つけないように書類全部粉々にしろ。面倒だ。」
クロノスはあきれ返って、ぼそぼそと呟いた。
「クロノスや、書類粉々にするとか言うたら今月の給料半分にするからの。」
書類の山の中からギルドマスターの声。
「「地獄耳」」
二人の声が同時に重なる。クロノスが諦めた様に指を2回パチンと鳴らした。
すると、どうだろう。部屋の中は綺麗に整頓され、塵一つ残っていないまともな部屋になった。しかもギルドマスターは椅子に座っている。
「ほっほっほ、やはりクロノスの魔法は精密じゃのう。一寸の狂いもないわい。それにしても便利な魔法じゃて。」
満面の笑みでギルドマスターが言う。そして真面目な顔つきになり続けて言う。
「神に使いし者、風の言詠み。両名に重大任務を与える。その為に呼んだのじゃ。」
空間は一変して緊張する。そして、ギルドマスターは1枚の紙を二人に差し出した。
それをクロノスが受け取り、読み始める。
「『<神に使いし者><風の言詠み>両名にサマナリカ学園大学部入学を命ず。尚、この指令は強制である。
大魔導師会代表
光導師』
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