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プロローグ
「なかなかいないものねぇ…。」
狭いけど日当たりのいい「教祖の間」。
ブラインドの隙間から日が指し、観葉植物が揺れる。
牛革の椅子に足を組んで座り、頬杖をついて卒業アルバムをめくりながら、紅子が呟いた。
いい人は沢山いるのに、紅子のお眼鏡にかなう人物がいないだけじゃないか。
喋ることができない彼がそう思った瞬間、紅子ががこちらを見る。
「……何?」
彼は首を横に振った。
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