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「この前の子は、よかったのにね。信心深さが足りないばっかりに。」 彼は何も言わず ーー否、言えず、黙ったまま電卓を叩く。 よかった、か。 紅子にとってはすっかり過去の人になってしまったのか。 たった、半年で。 紅子の切り替えが早いのか、それとも自分がおかしいのか。 隔絶された赤の社会で、彼は解る由はなかった。
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