160人が本棚に入れています
本棚に追加
接触
「森尾、これ。コピー!」
ばさばさと、自分の手元に大量の資料が、乱雑に落ちてくる。
コピー、じゃねーよ。
コピーしてください、だろ。
心の中でそういいながら、舌打ちした。
悪態をつきたいところだが、勿論態度に出すことはできない。
ここは会社で、こいつは禿げ上がってくたびれた趣味の悪いスーツを着ているが残念ながら自分の上司で、自分は上り詰めることのできない万年ヒラのお茶汲みOLだからだ。
「森尾、コピー。急いでるんだこっちは!早くしろ!」
禿げ上がった上司が喚く。
森尾と呼ばれた女は無言で立ち上がり、資料を持ってコピー室に向かった。
「全く、お前の仕事と俺の仕事、どっちが優先順位が上か、少し考えればわかるだろうが!」
無言で出ていったのが気に入らないのか、背中越しにまで文句を言われた。
最初のコメントを投稿しよう!