王都

12/34
前へ
/432ページ
次へ
「後で案内させましょう。今は此方へ」 兵士達とは此処で別れ、辰巳達は城の中へと進んでいく。城は白く輝く石で作られていて、壁は細かい装飾が施されているが、入り口から暫くの床は剥き出しだった。辰巳達は赤い絨毯が敷かれている通路を進み、立派な木製の扉の前で立ち止まる。 「客室です、此処で話をしましょう。どうぞ?」 男が扉を開けて辰巳達を招き入れる。茶ローブに続いて客室に入った辰巳は感嘆した。客室は見るからに高価な調度品が置かれ、中央にあるソファーも座り心地が良さそうだ。 辰巳は茶ローブ達とテーブルを挟んで座り、男と目を合わせる。 「まずはこの御方についてご説明、と言うよりご紹介しなければいけませんね」 「私が自分でしますから大丈夫です」 「承知しました」 男から茶ローブに視線をずらすと、茶ローブは自らのフードに手を掛けて一気に取り払う。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19119人が本棚に入れています
本棚に追加