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「寝るなよ」
「寝ちゃったら運んでね?」
「絶対嫌だ。どこに運ぶのかも分からないし」
「でも、放置はしないでしょ」
フィーネは目を閉じたまま断言する。
「何で断言できる?………俺は平気で人を攻撃できるんだぞ」
言った後に辰巳は少し後悔する。しかしフィーネは全く気にした様子を見せず、むしろ笑みを深くする。
「だって、助けてくれたじゃん。優しいよね~、普通だったら無理だよ」
「あれは………」
辰巳が黙り込んだのを恥ずかしいからと勘違いしたのか、フィーネは機嫌良さそうに足をブラブラさせる。
だがすぐに止め、俯いて足元を見る。
「私はさ………」
「?」
「弱いから、直接人を守る事なんてできないの。ていうか、自分の身すら守れない。だから私は、辰巳が羨ましい」
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