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「さ、さぁ。そのシルヴィ…なんだかなんて知らないなぁ」
とにかく彼女が嘘をついていないという保証はどこにもない。本当のことを言うわけにもいかない。
「そうですか。なら良かったです」
ミレンは先程の優しい口調に戻すと、にっこりと微笑んだ。
しかし、その事件とやらの詳細を聞いておいて損はないはずだ。
「その事件って…いったい何なの?」
ぼくがそう尋ねると、ミレンは一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに元の表情に戻った。
「ええと、それはですね。確か四年前…だったきがします。私も詳細は知らないんですが、当時冥界北学校ですごく噂になったんですよ」
と、彼女は少し興奮気味に話す。
「確か、彼女は優秀生だったので、私達一般生徒とはクラスは違ったのですが、彼女はやはり優秀生だったからか学生にして既に魂狩りに参加していたんです」
もう!あの頃私達なんてお掃除係だったのに!と、彼女は続ける。
しかし、シャルというのは…相当な優等生だったのか。
「彼女の成績はおよそベテランの魂狩りの人達と同等…いいえ、それ以上だったかもしれません。それくらい凄かったのです」
ですが…というと、彼女は一呼吸置いて、
「事件は…彼女が丁度百人目にして特務隊に昇進できるかどうかがかかった魂狩りの時に起こったんです。そう、彼女が、とある少女の担当になったときでした」
彼女は、そのまま続ける。
「そうですね。人間界(こちら)側の言葉で言う──」
そのまま、そのままの口調で、ぼくが止めるまもなく彼女は続けた。いや、続けてしまった。
「──見殺し、というのをしたんですよ」
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