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「──見、殺し?」
ぼくは彼女に聞き返す。先程彼女──ミレンが口走った言葉に対しての疑問の表れだった。
突然ぼくの目の前に現れた不思議な白銀の髪を持つ少女、シャル。
彼女が昔、とある少女を見殺しにした、とミレンは言うのだ。
「そうです。普通人間の魂、というのは未練が残ったまま死ぬと自縛霊、又は浮遊霊となってしまうんです」
しかし…と彼女は少し表情を強ばらせて、
「彼女は、シルヴィア・デ・ルートライズは、その少女をみすみす自縛霊にしたあげく、無理矢理彼女の魂を鎌で剥がしとったのですよ!」
「──は?」
なんだ?イメージができない。
「あぁ、そうか。あなたにこんな風に話てもご理解していただくのは難しいですよね」
というと彼女は自分が分かりやすく説明すると胸をポンと叩いた。
しかし、一瞬彼女に思考盗撮されたのかと思った。だが彼女はぼくがついている嘘──シャルがぼくの担当だということに気づいていないことから、それは無いだろう。
「人間の魂はですね、自縛霊になるとそうですね…鎖でつながれたような状態になるんです。それを成仏させるには話し合いで説得させる、というのが主流なのですが…」
と、少しの間を置き、
「どうしても説得できなかった場合は、煉獄に申請を出して鎌で剥ぎ取る許可を貰うんです。しかし彼女はその申請を取らないどころか、話し合いすらしないままに少女の魂を剥ぎ取ったんですよ」
「………」
「以上、です…」
彼女は少し悲しそうな顔をして空を見上げた。
「彼女、みんなの憧れの的だったのに…その事件のせいで鎌も取り上げられてしまうし……せっかく特務隊に入ったのに格下げされてしまうし…」
だからシャルは鎌を持っていなかったのか。
「シルヴィアさんが何故そんなことをしたのかは分かりませんが、とにかくそれは死神としてはやってはいけない、最低最悪の行為です!」
と、ミレンはぼくに主張するかのように大声で叫ぶ。
「まぁ私としては早く前のシルヴィアさんに戻ってほしいところですが、今の彼女が何をするかは正直分かりません。とにかく、彼女にあったら気をつけてくださいね」
そういうとミレンはふわりと宙に浮くと、そのまま下の階へと飛び去っていった。
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