始まりの詩

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 早る心臓を深呼吸で落ち着けて、ゆっくりと自転車のスピードを上げて走っていく。  やっぱり歌が聞こえてくる。この先で歌っているのか?家の帰り道はこの先を通らないとかなりめんどくさい。一旦戻ってたりしてたら、かなり遠回りになるし。 ……しょうがない。意を決して。覚悟を決めて。腹を括り緊張感を高めながらペダルを力強く回していった。 そして、その先にあった工事現場に……      女の子がいた。  その女の子の長い黒髪が月明かりに照らされ。祈るように手を合わせ歌うその姿に。 その神秘的な雰囲気に思わず見とれ、自然と足を止めていた。 ……なんてのは、割とよくあるラノベの一小節。 ……あらら本当に居たよ。これはスルーして通り抜けるべきか否か。 夢見る乙女なんですかね?もし、俺があの子だったら恥ずかしくて死ねるのに。
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