予感

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辺り一面を占める木々、桜や梅の蕾が色づき始めたことで、時を知らされる。長くも短かったように感じる中学校生活。 三年生になった今、三学期も、早いもので後少しで終わりを迎える時期になっていた。 授業の中では高校についての話をする先生や、中学校三年間を振り返る意味を兼ねての作文らしきものを宿題に出す先生も居る。 他にも色々なことがあるが、大体が今の時期になればそんなものばかり。 ちらっと後ろの黒板に目を向けると、季節を撮った風景写真が目印のカレンダーが目につく。 今日の日付は3月8日。 そう、3月10日には卒業式が行われるのだ。そして、中学校三年生である光紀はめでたく卒業。 「…もうすぐ卒業かー」 「早いもんだよな…そうだ、光紀」 「なに?」 「今日の放課後暇?」 「えっと、ん~?多分暇」 「じゃあ、本屋寄るから付き合って」 「りょーかい!」 と光紀が言えば、前の生徒は後ろに向けていた身体を元の体勢に戻す。 前に座っているのは、光紀の幼なじみで親友、永石 淕。 幼い頃から二人は近所に住んでいて、互いの家族同士も非常に仲が良いのだ。その為、大半の時間を一緒に過ごしていた記憶ばかり。
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