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店員は手早くメニューを聞き取れるように用意する。用意が済んだらしい。
「注文いいですか?」
「はい。ご注文どうぞ」
「ハンバーガーセットとアイスコーヒー、それから…サンドイッチとコーラ」
「全ておひとつずつで?」
「はい」
「かしこまりました」
メニューを聞き取って、間違いの無いように淕の頼んだものを繰り返す。
「あ、ちょっとトイレ行ってきていい?」
「気をつけて下さい」
「誰だよ!ていうか、俺女の子じゃないし~」
振り返り様に携帯を片手に持って見送る淕に言う。
店の隅に設置された、手洗い場、と白いプレートの上に見やすい文字で書かれて天井から吊るされている。
金属製の取っ手を握り手洗い場の扉を開き、中に入った。
中を見て思わず驚く。
「!…きんきらきん」
まさに言った言葉通り。
金、金、金…と目がチカチカしそうな奇抜、とまではいかないかもしれないがそんな色で塗装されている。
「ふわー…ホテル?」
光紀のその台詞にトイレの中だろう。何処からかは分からないが、くすくすっ。笑う声が聞こえてきた。
振り返って見ても、光紀以外に人は立っていない。
おかしいなー?と首を傾げながら、う~ん。と唸った。
少しの間、静かな空気が流れる。
「…ふう。失礼しました」
「えっ…!?」
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