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突然、聞こえてきた声に驚き勢いよくバッ、とうしろを振り向く。さっき聞こえた声の主はどうやら彼らしい。
そこに立っていたのは一人の高校生ぐらい青年だった。
一つ分かるのが、光紀よりも幾らか身長が高いということ。
「え…っと…」
「面白いね」
「…はい?」
「さっき入ってきた時、きんきらきん!って言ってたから」
「あ~!ホントにきんきらきんだったからつい…」
まさか、その言葉を聞かれていたなんて…光紀は独り言で言ったつもりだったのに。
「何て言うか、純粋だなー?って思った」
「それは褒められてるのか…単にバカって言われてるのか…めっちゃ微妙」
「あははっでも、一応誉めてるつもりだから」
「それはどうも」
「ところで…一人?」
「あ、いや。友達と」
「そうなんだ。もう一つ聞いてもいい?」
どうぞ。と頷きながら促す。
「きみに兄弟は?」
「え?あ。兄が一人…」
「そっか、答えてくれてありがとう。アメあげる」
と言いながら、彼はズボンのポケットから可愛らしい包み紙に包まれた小さな飴玉を取り出し、そっと光紀に手渡した。
光紀がそれを受け取ったのを確認すると、直ぐに姿を消してしまったのだ。
数秒後、お礼を言うのを忘れたことに気づく。
だけど、名前すら知らない相手に再び声を掛けるのは少し勇気がいる。
諦めて光紀も用を済ませその場を後にした。
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