予感

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身体や頭を洗い、適当に湯に浸かって、風呂から出た。 階段を上り二階にある自分の部屋に入る。真っ先に向かったのは、一人用だが広々としたベッドだ。 「む~、…ねっむ」 眠さを感じている重い瞼を擦りながら、部屋の机に置かれた目覚まし時計を見つめる。 時計の針は22時を指していた。 ふあ~。と眠さで出る欠伸に口を右手で覆う。 明日は間近に迫る卒業式の準備が行われるらしく、三年生である光紀や淕達は休みらしい。 今思い返してみれば、色んな出来事が次々に頭の中に思い浮かび上がってくる。 時間とは早いものだ。 ニ年前の今頃は、真新しい制服に身を包んで緊張しながら出席した入学式や、入学式して直ぐに行われた体育祭。 一年前には、文化祭の出し物で何故か白雪姫の演劇をやることになり、女子ではなく男子の自分が白雪姫をやったり、北海道にスキーをしに行った記憶がある。 そして、最後の一年も終わりを迎える今。 沢山の思い出や出来事が溢れだし、まるでそれらがつい最近、起こったことのように感じて不思議な感じになってきた。 「明後日かー…そういえば、卒業式って何時だっけ……?」 頭と気持ちでは起きているつもりでも、なんとも不思議で、ふわふわとした背中に鳥の様な羽が生えて空を翔んでいるかのような感覚が優しく、ふんわりと身体を包み込む。 暫くしてこくこくと頭が船を漕ぎ出した。 次第に襲ってくる睡魔に負けた光紀は、深い深い眠りの世界へと落ちて行ったのだ。 明日への淡い期待を胸にそっと…抱きしめながら。
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