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いよいよ卒業式。
学校の周りには、綺麗に着飾った様に立派な桜や梅の木に花が咲いていた。
こうして自分がいざ卒業式を迎えると考えてみると、なんだか寂しさや嬉しさが交じった、むず痒い感情が沸き上がる。
「みーつき」
「淕!」
「卒業で寂しいからって、泣くなよ?」
「なっ…泣かないし!」
「ははっ偉い偉い」
「また子ども扱いされてるような気がする…」
「一応、純粋って意味なんですけどね」
「じゅん、すい…か」
そういえば、この前にも誰かに同じことを言われたような気がする。
「……なぁ。光紀」
「んー?」
「話が、あるんだ」
いつもとは違う神妙な表情をした淕がそう言った。
「…淕?」
「俺、北河高校には行かないことにしたんだ」
「えっ…?」
予想もしていなかった話に思わず情けない声が漏れた。
そんな光紀の様子を伺いつつ、淕は言葉を続ける。
「実は前から決めてた。ずっと言えなかったけど」
「え…?なっ、なんで?」
「それはまだ、言えないけど…いつかちゃんと話すから」
「…だって……一緒の、高校行くって…」
突然突きつけられた現実に光紀は状況が読めずに居た。
(淕が…俺と、離れる……?)
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