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          ……――― ふわふわする意識の中で俺に呼び掛ける声が聞こえる 「…ずや…、大丈夫か?ちゃんと立てっ…!!」 ――ああ、この声は明彦だ ぼんやりと、そして途切れがちの意識をどうにか繋いでいるけど、どこか夢の中で感じてるいるようだ 「ほらっ、アパートに着いたぞ もうすぐ部屋だからしっかり歩けって」 俺の身体を支えながら、大丈夫か?と心配げに聞く声音に胸の真ん中がジンワリとして泣きたくなった 「ここから階段だからな、ちゃんと掴まってろよ」 アパートの2階、一番奥にある俺の部屋まで引き摺るように運ばれて 「部屋の鍵は?」 と、俺のポケットを弄っている スラックスのポケットから何とかキーを見つけ出し、鍵穴に差し込むのをぼんやりと見つめていた 部屋に送り込めば明彦の俺への役目は終わり きっと泥酔の俺を置いて、花嫁の元へ帰ってしまうんだ そう思ったら急に嫉妬のような感情が溢れて、 誰にも渡したくない思いが込み上げてた ――このまま、帰したくない… 無理な願いだとわかっていたけど 玄関のドアを開き、俺を支えながら中へ引き入れてくれる明彦の腰に甘えるように掌を回して顔を首筋へ埋める 「ちょっ、和也く―ん?酔いすぎだぞ―」 からかうように笑う明彦にちょっとカチンときた 自分だってフラれた時は泥酔して俺に抱きついてきたくせに あの出来事のせいで気づいてはいけない感情に気づいてしまったのに 誰のせいでこんなになったと思ってるんだ それに冗談でも和也くんなんて…、他人行儀で寂しいじゃん 何だかムカついてきたから、やれやれと溜め息を吐き一旦ドアを閉め部屋の中まで運んでくれようする明彦に、俺も仕返しのつもりでキスしてやる 「っ…!?かずっ…」 反射的に引き離そうとする身体を更に密着させ、後頭部を固定させた 少しは俺のせいでテンパッてしまえばいい この際どう思われようと構わない どうせ最後には酔っぱらいの悪ふざけだと思われて終わるんだ そう思ったら少し大胆になれた    
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