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          もっと強い刺激を求める身体と、これは明彦の兄なんだと止めようとする頭が相反し、思考がめちゃくちゃに混乱する 口先でダメと訴えたところで疼く身体はいうことを聞かないだろう 「本当に厭らしい身体してるよな、お前 なぁ、明彦には何回突っ込んでもらった? あいつもひでぇよなぁ、お前を放っておいて他の女を選んで結婚までするなんて…」 俺の身体中を撫で上げて耳元で囁く 時々耳朶を啄んでくるから、力が抜けて反論が出来なくなる 明彦が俺を抱くはずがない そんな事は仁さんだって解ってるはずなのに、言葉で俺を弄んで楽しんでいるんだ なのに、胸の奥が痛んだ 明彦が男の俺を選ぶことは世界が引っくり返されても絶対にないんだという事実に心が軋んだ 時間が経てば忘れられる 過去になれば綺麗な想い出になる ずっと自分に言い聞かせて気を張っていたのに 「ま、俺と違って男はダメだからなぁ、あいつは」 ぷつりと何かが切れたと同時に鼻の奥がつんとして視界がぶれた ぽたりぽたりとフローリングに落ちていくものが涙だとすぐに気づいたけど、拭う気にも隠す気にもならない 「ふっ、く…」 そのうちに声も抑えずに泣き声が漏れてくる しゃくりあげて泣き出したせいで頭に血が昇ってぼうっとしてきた そんな様子を眺めていた仁さんが俺の髪に手を伸ばし、くしゃりと慰めるように撫でた 可哀想な奴だと思われたのかもしれない 同情なんてされたくないけど、ちょっとはいい人なのかもなんて… こんな事をされてるのに、少しだけ気を許しそうになっていたら 休めていた入り口への刺激を再開し始め、両手でぐっと腰を固定した 「なぁ、泣いてる暇ねぇぞ しっかり咥え込めよ」 意味が解らなくて呆けた顔を仁さんに向けると、一瞬少し戸惑うような困ったような表情をして でもすぐに表情をなくし、屹立した中心で俺のナカに押し入ってきた 「うぁ、あっ!!」 充分に解かされていたとはいえ、油断していたせいで仁さんを迎え入れるのはかなりの苦痛を要する 「やだっ、やめ…」 掴むところのないフローリングに爪を立て、息を止めて一番嵩のある部分が入り口を通り過ぎるのを待つ そこが漸く入りきった時には、呼吸がはぁはぁと荒くなっていた  
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