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          さらに激しく動かされる腰と言葉による責めに感度が増幅され、自我が薄れていくような感覚に恍惚となる 「や、ぁ…そん、ちが、ぁん」 なんて否定の言葉を並べてみても、この乱れようは真実味なんてないに等しいだろう だんだんと何も見えなくなってくる この、快感以外は… 「はっ、そろそろ、イクぞ」 その言葉に反応するように身体のナカがうねる イイ場所を的確に突かれて、絶頂に昇るためだけの動きをされれば 「ダメ、も…」 “ああ、イケよ…、和也” 「っぁ!!」 幻聴で明彦の声が聴こえ、真っ白になっていく頭の中に明彦の笑顔が浮かんだ 男に抱かれるようになっても、その相手に明彦を重ねる事なんてなかった だってそれは明彦の事を考えたくない一心での行為だったから 目の前の快楽に溺れて、他は何も考えられなくなる為の行為だったから なのに、今日に限って明彦を思い浮かべてしまうなんて 俺の欲でお前を汚してしまうなんて… ゴメン、明彦… 「あ、あぁ、あっ、も、イクっ…」 白く意識が途切れる瞬間、体内に今まで感じた事のない程の熱が叩きつけられた 緩慢な動きで身体中を這い回るくすぐったいような感触で意識が戻った ほんの数分だけど気を失っていたらしい この感触の正体を確かめるようにそこに目を向けると、仁さんの舌が腰や尻を味わうように舐め回していた 「やっ、」 身悶えて逃れようとしても、力の入らない身体では抵抗出来なくて そんな俺を見下ろして放った仁さんの言葉 「まだ、だよ まだ足りないだろ? 満足させてやるから目を瞑ってろよ、…その方が、お前も愉しめるんだろう?」 最後の瞬間に愛しい男を思い浮かべたのを見透かされた気がした そして 「もっと溺れろよ、何も考えられなくなるくらい…」 この苦しいくらいの快楽が、まだまだ終わらない事を突きつけられ目の前が真っ暗になったような気がした…  
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