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『そう、俺』
昨夜、この声で責められた事を思い出してしまう
“性欲なんてありませんって顔してるくせに、こんなに吸い付いてくる…いやらしい身体だな”
彼はそう笑っていたんだ
震えだす身体を奮い立たせて
「一体何の用ですか?今仕事中なんですけど」
迷惑だとわかるような口調で言うけれど
『だろうな、わかってる
でももう終わるんだろ?一時間後に今から言うところに来いよ』
言うことを聞くのが当たり前のような口振りで言われムカついた
「は?昨日、自分が何をしたのか解ってんの?行くわけないだろ」
こんな人に敬語を使うなんてゴメンだ
でも仁さんはもちろん解ってるよと軽く笑い
『俺に犯されて狂ったように喘いでるお前も、…明彦の名前を呼びながら何度も何度もイッてる姿も全部覚えてる』
「なっ…!!」
顔が熱くなる
明彦の名前を呼んでいたなんて、そんなの覚えていない
でも、快楽に溺れて自分を見失っていたのは事実だ
絶対にない、とは言い切れない
『来てくれるよね?俺たちの仲じゃないか
大丈夫、和也くんの悪いようにはしないよ…昨日の事も、二人の秘密にしたいだろ?』
愕然とした
まさか、行かなければ明彦にばらすと言うのか?
そんな事を知られたら…、もう二度と明彦の顔なんて見れないだろう
泣き出しそうな気持ちで、待ち合わせ先の場所を聞くしか出来なかった
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