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…ふと遠くを眺めれば、微かに霞がかった野原が…どこまでも広がっている。
そしてふと地面を見れば、そこにはChoco barの包み紙が…まるで異質な雑草のように転がっている。
私はそれを拾って袋に入れると、木の根本に転がっている空き缶を見つけ…その元へズンズンと歩み寄る。
まるで街を中心から侵食するかのように広がる草木の群れ、だがそれは大公園という名の柵を決して越える事なく…自分達のRule(循環)の中で繁栄を続けている。
その繁栄を、人間が落としていく様々なゴミが…邪魔をする。
生きるためにある程度の毒を要するのが生命であるが、人間の中に絶対悪があるように…植物の中にも絶対毒が存在する。
それを取り除くのが今の私の仕事、支給された薄緑色の作業着は暖かく…とても嬉しい。
この間は散々だった、バカな人間に正体がバレそうになるし…バカな同胞が飛び込んでくるし。
今のところ、彼が警察に逮捕されたという報道は無い…もっともそれが公表されるかすら怪しいけど。
政府が私達をどうしたいのか、そんな事は分からないし…興味も無い。
私は、ただこの世界で生きていければそれでいい…救済なんてもう知らない。
そんな事を考えていると、私はいつの間にか大樹に背中を預け…完全に手が止まっていた事に気づく。
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