0人が本棚に入れています
本棚に追加
私は弾かれるように大樹の背から離れると、大樹の脇をすり抜けて…林の中へ入り込む。
林の中は周囲から見えにくくなっているため、下手をすると壊れたテレビなどが捨ててある…それを許す訳にはいかない。
私達が木々に愛着を持っているのは、私達の能力に彼らが不可欠であるというのもあるし…構造上似ているというのもある。
だが私達がいくら愛着を持とうとも、彼らは私達に何を示してくれない…当たり前の事だけど。
私が林の奥へ足を進めると、さっそく何本かのペットボトルがまとめられたビニール袋が見つかる…それを拾ってみると、不快な重みが私の手を伝う。
その横にはCrisp(ポテチ)の袋に、ピザの空き皿…Teenager(若者)の宴の残骸だった。
私はそれを、顔色一つ変えずに拾い始める…そこに怒りや憤りは無い。
私の目的は、木々を害する物を取り除く事のみ…捨てていく人間の事なんてどうでもいい。
そう、人間がいくら彼らを害そうが…私達はそれを絶対にはね除けてみせる。
人類を救う事も滅ぼす事にも興味を失った私には…それしか無いから。
「…ふぅ、疲れます」
私の口から思わず、そんな言葉が出てしまう…人間ではない私から。
私達には確かに食物を摂取する臓器も必要も無いが、それでも私達の体は…れっきとした有機体だ。
最初のコメントを投稿しよう!