【00】_Prologue for her.

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然るべき栄養を常に体は欲しているし、それが無ければ体力が衰え…然るべき時間をかけて枯れ果てる。 あの頃は軍部のその栄養をたっぷり配給してくれたお陰で、餓死するという事を考えもしなかったが…今は常に考えている。 枯れるとは、どんな感覚なのか?爆弾で死ぬのと…どう違うのか? …私は沈んだ思考を振り払うように頭を振るうと、他にゴミが落ちていないかを確認し…林の奥へ進む。 この林は大公園に数ある林の中でも、大きなものの一つようだ…まだまだ先がある。 私は膝まで伸びている雑草を踏み分け、時々耳を掠める羽虫を無視しながら…ゆっくりと歩き続ける。 歩き続けながら、頭の中で経過した大体の時間を計算し…日の出を心待ちにする。 太陽の光は、私達にとってご馳走…ご褒美という言い方もできるかもしれない。 大戦時代に共闘した他の同胞達も、戦地での日の出を毎日楽しみにしていた…あの笑顔は、忘れたくない。 でも正直なところ、なぜ私達が太陽の光を好むのかは…よく分からない。 なぜだがみんな、その眩い光に惹かれていた…まるで子どもがCandyを好むように。 太陽の光を浴びると、体の中を炭酸水が流れるみたいに爽やかな気分になって…疲労感が一気に霧散してしまうのだ。 まるで体の構成が新しく組み上げられているような…不思議な感覚。
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