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太陽が出れば春でも夏でも嬉しいが、今は太陽が雲の下に出る事は少なく…みんなもさぞや苦労しているに違いない。
…みんな、か…今頃どこで何しているのかな?
私が配属された部隊で何人か気の通じた同胞を作ったけど、あれから誰にも会っていない…街を歩いても気配が見つけられない。
私には政府とのConnection(友好関係)は全く無く、一市民として知り得る情報以上の事を知る事はできない。
たとえば、政府側が潜伏側である私達を捕獲して隔離しようとしたら…私達は大人しく捕まるしかない。
捕まって、政府の監視下での生活を強要されるか…あるいは、
―ズンッ!
「ヒィッ!」
…その音は、私がいる林の奥から突然響いた。
まるで空から牛でも落ちてきた時みたいに、重く激しい音の前に…私は凍りつく。
「…な、に?」
ゴミの袋をギュッと胸元に抱き寄せ、目の前に広がる林を…凝視する。
静かな林は、ピクリとも動かない…奥から何かが出て来る事もない。
…どうしよう、これって…逃げた方がいいの?
私は痺れている頭を何とか動かし、自分が何をすれば最善かを…必死に考える。
…落ち着け、私はこれでも…あの大戦を生き抜いたんだ。
そうだ、私だって能力を使えるんだ…全然使っていないけれど。
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