【00】_Prologue for her.

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太陽が出れば春でも夏でも嬉しいが、今は太陽が雲の下に出る事は少なく…みんなもさぞや苦労しているに違いない。 …みんな、か…今頃どこで何しているのかな? 私が配属された部隊で何人か気の通じた同胞を作ったけど、あれから誰にも会っていない…街を歩いても気配が見つけられない。 私には政府とのConnection(友好関係)は全く無く、一市民として知り得る情報以上の事を知る事はできない。 たとえば、政府側が潜伏側である私達を捕獲して隔離しようとしたら…私達は大人しく捕まるしかない。 捕まって、政府の監視下での生活を強要されるか…あるいは、 ―ズンッ! 「ヒィッ!」 …その音は、私がいる林の奥から突然響いた。 まるで空から牛でも落ちてきた時みたいに、重く激しい音の前に…私は凍りつく。 「…な、に?」 ゴミの袋をギュッと胸元に抱き寄せ、目の前に広がる林を…凝視する。 静かな林は、ピクリとも動かない…奥から何かが出て来る事もない。 …どうしよう、これって…逃げた方がいいの? 私は痺れている頭を何とか動かし、自分が何をすれば最善かを…必死に考える。 …落ち着け、私はこれでも…あの大戦を生き抜いたんだ。 そうだ、私だって能力を使えるんだ…全然使っていないけれど。
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