第1章 日常の中の非日常

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俺は最近節々に思う。今俺のいる世界は腐っていると。 人から金を奪っていい世界。人が傷つくのを見て見ぬふりをする人々。 殺しさえしなければいくら傷つけようと構わない世界。そんなルールを認めている。 茶色の砂の地面。風の匂いに混じって漂う悪臭。活気なんて言葉とは程遠い商店街がいくつか並ぶ町並み。離れたところには雲近くまで届いている壁が見える。 砂埃が吹き荒れた。それと同時に意識は現実へと取り戻され、視線を静かに前方足元へと下ろす。 どこをとっても腐っているとしか言いようがない。そして、その腐ってる中の腐ってるルールの中生きる自分はそれ以上に腐っていた。
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