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「年神といったら日本の家々にその年の福を授けて回る大事な神ですよ。大掃除も角松もお正月支度の大半は年神を迎えるためといっても過言じゃありません!」
結局、早口で年神がいなくなって困る理由を簡潔に述べると、ここまでいったらわかるでしょう、と続けた。
なるほど、と香乃斗は納得。幼い頃から玄関にしめ縄を掛けたり大掃除を行っていた両親が軽く説明してくれたような気もするが、すっかり忘れていた。
「年神は綺麗な場所ととがったものが好きなんです。わかったら早く彼女を探してきてください」
「わ、分かりました!今から探してきます!」
普段よりもずっと上から目線な、それこそ今すぐにでもストレスで爆発しそうな月読から逃げるように香乃斗は、その場からくるりと背を向けて駆けだした。
女、年神、年末年始には重要な役割の神様。
「結局、どんな神様なのか聞けなかったし……」
だが、改めて戻って聞くような勇気も度胸も残念ながらなく、長い廊下を走り去って行った……。
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